2023年05月05日

先端設備の導入支援

国は、中小企業の設備投資を後押しするため、様々な施策を用意しています。

その中の一つ、先端設備等導入計画の認定で受けられる固定資産税の特例について記事にします。

先端設備等導入計画とは、中小企業者が、設備投資を通じて労働生産性の向上を図るための計画です。

認定された事業者は、生産性を高めるための設備を取得した場合、固定資産税の軽減措置(3年間1/2に軽減。賃上げ方針を従業員に表明した場合は1/3に軽減)を受けることができます。

例えば、耐用年数8年、1億円の機械装置を購入するにあたり、事前に先端設備等導入計画の認定を受けていれば、3年間の節税見込額は約140万円です(1/2軽減の場合)。

先端設備等導入計画は令和7331日までの時限措置です。

計画認定を受けるためには、設備投資によって労働生産性を一定程度向上させる事業計画を策定し、投資計画書を作成なければなりません。

設備投資を予定されている事業者は、補助金の利用と併せてこれらの計画認定をご検討されることをお勧めします。

ラベル:診断士 税制
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2023年04月29日

銀行は何故審査するのか

先週は、所属会合で元銀行マンの診断士仲間からセミナーレクチャを受けました。

とても含蓄のある話で事業者支援にも生かせる内容ですので備忘録も兼ねて記事にします。

銀行は何故審査するのか?

ズバリ、経営者の人柄、考え方をみて「与信」を見定めるためです。

実は、雑談の中からすでに審査は始まっていて、相手の身なり、服装、話題の中から品定めをしています。

「第一印象」はとても大事で、「何か引っかかる」と思った先は融資手続きに時間が掛かったり、倒産したりと問題となることが経験則からも言えるそうです。

審査のポイントは3点、<ヒト・モノ・カネ>をみる。

しかも、この3つが揃っていないと融資で失敗する可能性大とのこと。

ヒトの審査とは、この社長にお金を貸してちゃんと返ってくるか、融資のお金を有効活用してくれるか、長く付き合っていける先か等。

会社が儲かっていないのに高級外車に乗っている、社長の自宅がやけに豪華、身なりが派手、遊びが派手、愛人がいるというケースはヒトの審査で落ちてしまいます。

また、意外にも節税好きな社長や税理士を銀行は好きではありません。

返済能力が減る(融資可能額が減る)、自己資本が積みあがらない、節税する(お金が出て行く)、本来の収支が分からなくなる

と言う理由から。また、流行った?保険料を使った節税対策も審査という点ではマイナスだと。

モノの審査とは、事業に強みや将来性があるか、融資で伸びる可能性があるかといった銀行に収益をもたらすかどうかという観点で見ています。

カネの審査は、決算書で判断します。

「会社には銀行用、税務署用、取引先用の3つの決算書があると言われる」銀行は提出された決算書が正しいかどうか、粉飾がないかどうかを調べます。粉飾を見つけるようになれると一人前と言われました。

簡単な粉飾は、勘定科目を3期〜5期並べてみると科目の推移に異常があれば浮かび上がってきます。

では、決算書はどこから見るか。

利益がどれだけ出ている会社かと、P/L損益計算書から見る人が多いのでは?(私がそうでした)

銀行員は、B/S貸借対照表から最初にみて、利益剰余金をその会社の業歴で割り、過去の平均利益を計算します。

当期利益と見比べ、最近儲かるようになった企業か、昔はよかったがじり貧になってきた企業かを判別し、

儲かっていた企業が連続で赤字を出し始めると立ち直るのはなかなか難しいと、これも経験則で言われているそうです。

銀行融資の裏側の一旦を見ましたが、

銀行は「晴れている時には傘を貸すが雨が降ったら貸してくれない」とよく言われます。

日頃から、銀行をファンにし味方につけることをお勧めしています。

その一つとして、業績のいい時にお金を借りると、銀行と良好な関係が作れるようになります。

低金利の時代、節税をするのであれば借入をして手持ち預金を増やし1年ぐらいは売上がなくてもやっていけるぐらいの会社にする方がこれからの時代は良いかと思います。

金利は経費、将来の業績悪化の時に備えた保険と思えば決して高いものではありません。

国は、銀行に事業性評価による伴走支援を求めています。

銀行では、融資以外の商品も売らなくてはいけないうえに、残業をすることができず、時間がないのが実情とのこと。

中小企業の経営者もコロナの次は円安での物価高、賃上げにどう対処すれば良いか等、経営課題が山積。

また、ゼロゼロコロナ融資の借換え支援をしてもらいたい企業がこれから増えていきます。

診断士も銀行審査の裏側を知ることで、銀行担当者が稟議を書きやすい資料を提出できれば、銀行との関係強化が図られます。

今後は、頼りになる存在として経営改善計画書等の作成支援も望まれます。

ラベル:融資 診断士
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2023年04月20日

経営力向上計画の認定支援

最近は、設備投資を伴う事業計画策定支援に加えて、経営力向上計画策定の支援を行う機会が増えました。

まだまだ、認知度が低いと思い、紹介兼ねて記事にします。

国は、中小企業の設備投資を後押しするため、様々な施策を用意しています。

経営力向上計画はその一つで、人材育成などのマネジメント向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画です。

計画を立て、申請し、認定を受けることで、税制の優遇処置が得られます。

事業者は、計画に基づき一定の設備を新規取得して指定事業の用に供した場合、即時償却または取得価額の10%の税額控除を選択適用することができます。

例えば、1億円の機械装置を購入する場合。

設備取得年度の税負担軽減目的なら即時償却を選択し、長期の法人税額合計を減少させる目的なら税額控除を選択します。

10%税額控除なら、最大1,000万円の税額控除となります。

但し、税額控除額は、その事業年度の法人税額の20%が上限。(法人税額が1,000万円であれば限度額は200万円)

なお、補助金を受給して圧縮記帳の適用を受ける場合は、圧縮記帳後の金額が税務上の取得価額となります。

経営力向上計画の認定による税制支援は令和7331日までの時限措置です。

計画認定を受けるためには、設備投資によって労働生産性を一定程度向上させる事業計画を策定しなければなりません。

加えて、工業会証明書の取得または投資計画書の作成が必要です。

こちら、直近の令和54月に改正された情報を基に、経営力向上計画の認定で受けられる法人税の特例についてご紹介しました。

https://keieiryoku.go.jp/

詳しくは、上記ポータルサイトから

ラベル:診断士 税制
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2023年04月12日

パートナーシップ構築宣言

パートナーシップ構築宣言は、サプライチェーンの取引先と連携し、新たなパートナーシップを構築することを「発注者」側の立場から宣言するものです。

私のコンサル支援先にも宣言登録をお手伝いしていますので、紹介兼ねて記事にします。

現在の登録企業数は21,600社で、企業の大小関わらず多くの企業が登録済みです。

パートナーシップ構築宣言の目的は、立場の弱い企業が不利益を被らないようにすること。

下請に不利益な取引をしないと宣言させることで、立場の弱い企業を保護する狙いがあります。

このバックボーンには、ちゃんと下請中小企業振興法という法律があります。

これには「振興基準」というのがあって、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行が記載されています。

これを誠実に遵守しますと、Webポータルに代表者名で宣言するんですね。以下URL。


中々、良いアイデアと思うのですが、いかがでしょうか。

公正取引委員会は、80,000社の下請企業からの調査を実施し、優越的地位の濫用で名前の挙がった数が多い企業13社を公表しました。

その企業の宣言内容は以下の通りです。

@価格決定方法
不合理な原価低減要請を行いません。
取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議します。
取引対価の決定を含め契約に当たっては、親事業者は契約条件の書面等による明示・交付を行います。

サプライチェーン全体の共存共栄に向けて、改善を期待します。
posted by ネット田中 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の中小企業問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月04日

インボイス対応それぞれ

診断士協会所属団体での会合。

インボイス制度の方針について説明がありました。

備忘録兼ねて、記事にします。

まず、概要について。

年間売上高1,000万円以下の事業者および開業2年以内の小規模事業者は、消費税を請求しても納税せずに済んでいました。

こちら、今後は(実質)納税義務が生じます。

売上1千万円以下ですから、診断士の個人事業主では、多くの方が当てはまるのでは。

コンサルフィー10万円、消費税1万円で11万円の入金があり、本来、仕入と売上の消費税の差額を納税するのですが。

診断士だと、外注することなく自分でやることが、ほとんどなので仕入が無く、そのまま益税に。

これが、法人事業者相手に仕事をしている場合(いわゆるBtoB)は事実上インボイス登録をしない訳にはいかないでしょう。

インボイス登録をしないと得意先の事務負担を増大させるためです。(取引を打ち切られることも)

当所属団体の取引先も法人事業者であるため、その会員である私もインボイス登録をすることになります。

所属団体での方針ですが、インボイス登録自体は強制も条件ともしませんので、

登録者には、従来通り、消費税含んで支払し、未登録者は、消費税分を控除して支払いとなりました。

まあ、当然の方針なのですが、一方、別の所属団体では、仕入先経過処置を適用するとの方針があり、インボイス対応も所属団体それぞれですね。

以下もおさらいです。

1. 適格請求書保存方式(いわゆるインボイス方式)
  適格請求書とは、請求額に消費税を上乗せすることができる請求書等です。
  令和5年10月1日以降、請求額に消費税を上乗せするならば、インボイス登録しなければなりません。

2.申告納税への影響
  インボイス登録をした事業者は、消費税の申告納税をしなければなりません。
3.登録方法
 「適格請求書発行事業者の登録申請書」を所轄税務署に提出します
  (いたって簡単とのこと、書類1枚の提出)
  税務署から「適格請求書発行事業者の登録通知書」が届きます。(1か月くらい)
  この通知書にインボイス番号が記載されています。
  所属団体を通じて仕事を受けている診断士(私も)は、このインボイス番号を登録。
  
  また、インボイス番号は下記の公表サイトから確認することができます。
  ※国税庁適格請求書発行事業者公表サイト  
4.申請期限
 原則:令和5年3月31日、事情あれば10月までに。
 あれこれ避けて通れないかと思うところもありますが、そもそも申告すべきもの。
ラベル:診断士 消費税
posted by ネット田中 at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の協会活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする