2024年03月21日

AR(拡張現実)技術の産業利用

昨今はよく目にする技術となってきているので、ご存知の方も多いかもしれませんが、ARは、Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)の略で、日本語では『拡張現実』と言います。このARは、人が知覚している現実の環境(物や空間)に対して、仮想の情報を重ね合わせる表示技術です。AR技術の産業利用について、技術動向と合わせて紹介します。

1. ARは幻滅期
ガートナー・ジャパン発表の「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022」
では、メタバースへの期待感が一気に高まる一方で、AR/VR(拡張/仮想現実)は、市場から著しく期待される時期を過ぎて幻滅期にあるとしています。デバイスの進化に後押しされたAR/VR技術も安定普及に向けて進む啓発期にあります。
AR画像1.png
出所:ガートナー「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022」

2.ARとMR/VRの違い
現実と仮想を組み合わせる表示技術として、AR以外にも、VR(バーチャル・リアリティ)やMR(ミクスド・リアリティ)といった物があります。この中でもVRは、コンシューマ向けのゲーム等の普及で体験したことがある方も多いかもしれませんが、VRは仮想世界に人間の知覚(視覚や聴覚)を没入する事で仮想(バーチャルの)世界を体感するもので、仮想世界がメインとなります。それに対し、ARは現実世界がメインで、現実の画像に仮想の情報を付加するというものになります。

3.AR技術の活用例
AR/VRの技術は、ゲームなどのエンターテインメント分野で特に普及が進んでいますが、技術としてはまだまだ多くの活用領域があります。
(1)作業支援・教育支援
現実の機器にアノテーションを重畳表示することで操作を行う位置やアクションを容易に把握することができる。また、危険箇所への注意喚起などにも利用可能です。
(2)3Dモデル配置
現実の風景にCGや3Dモデルを重畳表示することで、あたかも「そこにあるかのように」に感じられ、見た目やサイズ感、設置イメージを視覚的に把握することで配置検討ができる。
(3)透過モデル表示
現実の物体に3Dモデルを重畳表示することで、内部が透けているかのように見え、分解せずに故障個所を把握することや、内部構造の理解を深めるなど技術教育などに利用することができる。
(4)空間情報表示
現実の空間中に文字情報や矢印、画像などを表示することで、道順や看板、注意書きを仮想的に表示させ、目的地まで安全に誘導する経路案内などができる。

上に挙げているのは用途の一例ですが、AR表示する内容・重ねる対象物など、様々な業種・業務でこの技術を活用できます。その中でも、特に産業領域においては、ARなどのビジュアル化技術の活用度は高く、また効果も出やすい領域です。

4.ARマーカーについて
AR表示するためには基準となる箇所を認識する必要があるため、ARマーカーを使用します。
マーカーには情報を表示する仕組みから大きく3種類に分けられる。
■画像認識型
 カメラで取得した画像を解析し、画像や映像にデジタル情報を付加する方式
■位置情報型
 GPSやスマートフォンの加速度センサーなどから取得した情報と紐づけて、ARを表示する仕組み
■空間認識型
 カメラで取得した空間の情報を解析し、画像や映像にデジタル情報を付加する方式
位置情報を利用したゲームコンテンツや、地図アプリなどでの活用事例が増えていますので目に触れることも多いかと思います。また、各々を組合わせて精度の高い情報として利用する例が見られます。

5.AR技術への期待とギャップ
やっぱり、ARするならスマートグラスでしょ!
これはARを産業利用に取り入れようとする多くの方の意見です。付加された仮想情報を見るときに、スマートフォン、タブレットでは、どうしても両手が塞がり使いづらい。両手フリーのグラスがデバイスの第一選択肢となります。ネット上に登場するPR動画もスマートグラス装着のシーンが多く、イメージ先行の感が否めません。
実際に装着してみると、重いです、画面小さいです、電池が持ちません。など意外とネガティブなコメントが多く登場します。単眼式グラスでは、現物を見る目との視差で慣れるのに苦慮します。両眼式グラスでは、目の前に付加情報が表示されて、歩きながらの作業には向かない。人間の知覚によるところですので、個人差も大きいと見られます。こちらは、スマートグラスの今後の機能改善に期待したと思います。
AR画像2.png
出所:マイクロソフトHP https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens/apps

6.ARの産業利用例
産業利用例を一つ紹介します。
国土交通省の排水機場点検業務にヘッドマウント型のスマートグラスを装着し、設備点検業務にARが利用されています。ポンプ設備の点検を実施する際、排水機場の光景に付加情報(ホログラム)を重ね合わせて表示します。正確な点検箇所を把握し、点検結果を入力する。紙やタブレットを使うよりも安全に点検でき、施設情報を熟知していない作業者でも容易に点検できるなどのメリットもあります。
AR画像3.png
出所:クボタHP https://www.kubota.co.jp/news/2024/management-20240208.html より
ラベル:AR/VR
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2024年02月08日

メールは届いて当たり前

何時頃からかメールは通信キャリアのWebメールを利用しています。

いろんなデバイスでどこでも見れるからで、面倒な設定もいらず、当たり前のように。

そのなかでメールが届かないことも。

多くは迷惑メールフォルダに入っていたり、フィッシングメールと自動判定されたのでしょうね。

今まで届いて協会会員向けメールも。

判定アルゴリズムも進化しているようで、

発信元フリーアドからBCCで多数の宛先へ送信するとチェックがかかりやすい等。

変わったところで、Outlookで送信したZOOM会議案内メールが本文無しで.icsファイルが添付されるケース。

最近、こんなニュースが、

GmailやYahooメールがガイドラインを変更しました。

メール送信者側が守れないとどうなってしまうか、ブロックされたり迷惑メールフォルダに分類されます。

迷惑メール対策としてのガイドラインですので批判されることはありませんが、メールは一つの通知手段から届くことを前提とした社会インフラになっています。

もっと周知されても良いのでは思いつつ、自分事ととして記事にしました。

対応済みか確認してみます。

posted by ネット田中 at 09:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士のIT | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月24日

産業廃棄物処理業の動向

昨日は、今年最後の研究会例会。

業界動向のなかでの発表を備忘録兼ねて記事にしました。

環境関連事業が伸びる中で産業廃棄物処理業の動向です。

産業廃棄物処理業とは、

事業活動に伴って生じた廃棄物を収集運搬、処分する事業です。

産業廃棄物には、法で直接定められた6種類と、政令で定めた14種類の計20種類があり、産業廃棄物以外の廃棄物は、一般廃棄物となります。

処分を排出者から委託を受けて行うのが産業廃棄物処理業者であり、収集運搬事業、処分業、特別管理処分業の3つの業種に分かれます。

一般廃棄物処理との違いとは、

産業廃棄物の処理責任が排出事業主にあるところです。(一般廃棄物は市町村)

実際の処理は業者に委託することが多いため、適正に処理されたことを確認するための制度にマニュフェストがあります。

責任の所在を「見える化」したもので産業廃棄物の処理過程にだけ存在する仕組み、一般廃棄物処理には見られない特徴です。

廃棄物処理・リサイクルの市場規模は、

2020年で約4.7兆円と言われています。全排出量は年間約3.7億トン、うち再生利用量は全体の半数超の53%、中間処理上での減量処理が45%、最終処分が2%と推計されています。

産廃問題とは、

不法投棄と最終処分場の不足が挙げられます。

不法投棄に関しては、ピーク時の平成10年代前半に比べて、大幅に減少していますが、令和3年度で年間107件、総量3.7万トンもの悪質な不法投棄が新規に発覚するなど、いまだ跡を絶たない状況にあります。

最終処分場の不足の問題で、環境省は「およそ20年で日本全国のゴミの埋め立て場・最終処分場が満杯になり、ゴミを埋め立てできなくなる」という発表を出しています。

しかし、造ろうにも、不法投棄による悪いイメージや環境汚染への住民の不安感などから新たな最終処分場確保が困難になっていて、最終処分場の不足は、結果的に最終処分コストの高騰を招いて、不法投棄の誘因となる悪循環を生むことになります。

最終処分場の不足の問題を解決に向けては、リサイクル率を上げて最終処分する廃棄物を減らしていくことが有効であり、製品メーカーがリサイクルまで責任を持つしくみにしたのがリサイクル法です。

産業廃棄物処理事業者の今後の役割は、

中間処理施設でリサイクル純度を上げることで対応することが求められています。

産業廃棄物処理業は、不要になったものを廃棄するという従来のイメージから資源リサイクルによる持続可能な社会を実現する担い手としての役割を負うことになります。

以上 環境産業のとして活躍が期待される産業廃棄物処理業の動向でした。

ラベル:研究会 産業
posted by ネット田中 at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の協会活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月28日

人気の資格いろいろ

人気の資格にもいろいろ。

人気の資格が稼げる資格かと言えばイコールにならないようです。

ビジネスパーソンの人気国家資格に、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士があげられます。

でも、人気があっても、中小企業診断士などは、足裏の米粒とよく揶揄されています。

取っても食えないという意味ですね。

現在、国家資格で約310種類、民間資格は数千種類あると言われていますが、資格取得ブームは続いているようです。

将来稼げる資格って何なんでしょうか。

キーポイントはあるようで、過去の仕事のキャリアを生かせる資格かどうかが重要。

仕事での経験は、顧客ニーズの把握や経験に基づいた説得力のあるアドバイスにつながるからです。

中小企業診断士は、比較的営業職だった人に向いており、人事総務職の人は社会保険労務士、不動産業界の人ならば、宅建やマンション管理士が向いているようです。

ただ、当然ながら資格をとったから、すぐに稼げるわけではありません。

また、法律の改正や時代の変遷に伴い、知識の更新、つまり継続的な自己研鑚が必要となります。

時代が変わり、資格選びに変化も見られます。

従来型の資格をとって奮起一点、独立開業では無く、余生に役立つ資格が注目されています。

つまり、収入は少なくとも、定年退職後、暮らしの参考になったり気持ちが豊かになる資格です。

そうなれば、資格は財産になりますね。

自分にあった資格を探してみてはいかがでしょうか。
posted by ネット田中 at 09:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の会社生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月12日

終わり良ければ総て良し

経験の楽しいと思う記憶は、ピークと終了の度合いで決まるという。

ダニエル・カーネマンというアメリカのノーベル学者が提唱したピークエンドの法則です。

この理論、ビジネス分野だけでなく実生活でもよく登場する、とても面白い理論。

たとえば、映画で強く記憶に残るのは、最高の見せ場のシーンと、最後のラストシーンですね。

終わりよければすべてよし、という諺がありますが、確かに当たっています。

他にも実生活の中で事例がたくさんあります。

例えばデートです。

散々なアクシデントだらけのデートでも、最高潮に盛り上がる1シーンと最後の別れの場面で良い印象があれば、それが、全ての記憶となります。

逆も真なりで、どんなに途中経過が良くても、最後を誤ると最悪の印象に代わってしまいます。

ビジネスシーンの例で言えばメールや接待会食、商談交渉などが。

好印象を残しながら、自分と相手のつながりを強くするには、最後のエンドが大切であり、そのピークには感動を与えるサプライズが必要です。

印象が薄いと言われる方や頑張っているのに成果につながらないとお嘆きのビジネスマンに。

ピーク・エンドの法則を念頭に置いて、コミュニケーションの方法やストーリーを組み立ててみてはいかがでしょうか。
ラベル:心理学
posted by ネット田中 at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士のビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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