2015年12月12日

企業の衰退

最近、一部上場企業の中で不祥事が続いていますね。

栄華を誇った優良企業も衰退するんです。

そういった企業の衰退のプロセスについて書かれた本がビジョナリー・カンパニニー3です。

著者のジェームズ・コリンズさんは、比較対象企業を綿密に分析し、ビジョナリーと称賛される企業の特徴を探ろうとします。

第1作『ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則』、第2作『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』があります。

第3作目が、この『ビジョナリー・カンパニー3 - 衰退の五段階』です。

前2作の続編として、前作同様に比較対象企業を設定し分析していきます。

企業は、「ビジョナリー」を目指すわけですが、大抵の企業はなかなかそうはなれませんね。

また、一度は「ビジョナリー」として賞賛された企業であっても、その栄華がずっと続くわけでもありません。

コリンズさんは、強大な企業がいかに衰退するかを示す段階的な枠組みは五段階で構成され、それぞれの段階を順番に経過するとしています。

第一段階「成功から生まれる傲慢」
第二段階「規律なき拡大路線」
第三段階「リスクと問題の否認」
第四段階「一発逆転策の追求」
第五段階「屈服と凡庸な企業への転落か消滅」

衰退への道を歩んでいると分かった時(分からないことも多いのですが)は、規律ある経営慣行を厳守することが必要であると説いています。

この「衰退の五段階」は普段の自分たちの日常生活にも非常に応用が効きます。

FXに投資して、ちょっと儲かると自分は才能があると傲慢になり、投資を拡大して、リスクを顧みず、最後は一発逆転を狙って、奈落へ落ちて行きました。

自分のこういった苦い経験も、なるほど、と妙に感心させられました。

この本ですが、比較対象企業が良く知る企業なので非常にリアリティがありますね。

HPとIBM、たしかに当時、フィオリーナが脚光を浴びていたのを覚えています。

ガースナーがそんな地味な人とは(失礼)思いませんでした。

また、IBMの再建を託されたガースナーが「今はビジョンは必要ない」と述べたのに対比してフィオリーナの明確なビジョンと猛烈な個性で周りを魅了していくさまに考えさせられるところがあります。

読み終わったあと、さっそく、ガースナーの「巨象も踊る」を買いましたよ。

なかなか面白かったのでお勧めします。
ラベル:診断士 企業
posted by ネット田中 at 18:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月28日

地方創生

アベノミクスで株価が上昇し雇用が増えました。

副作用で消費者物価があがり、雇用が増えたのは非正規労働者だけとのことで、こちらは、ついに2000万人を突破したそうです。

衆議院選挙で大勝した自民党政府は、次なる、経済戦略に地方創生を上げましたね。

東京一極集中を改め、アベノミクス効果を地方へ波及させたいとの思いのようですが、本丸の効果が、まだ、未決着の中で大丈夫なのか疑問符がつきます。

意地悪に考えれば、次に続く地方選挙向けに、お金のバラマキかとの見方もあります。

古い話ですが、竹下総理の時代に、ふるさと創生をうたって1億円を3000超の市町村にバラマキましたね。

結果は見事に期待を裏切り、使いようのない施設ばかりが作られて、維持費で逆に大変になったとか、賢い?自治体では金塊を買ったなど笑い話になっています。

もちろん、このような先の失敗例に学んで、地方創生の経済対策が打たれることと思いますが、お金を地方にバラマクという手法を改めない限り、同じ結果が見えてくるのではないでしょうか。

地方は多様です。いうまでもなく。

地方が自ら創意工夫し、中央政府が後押しする政策が望まれます。

望まれるその政策とは、お金を与えるのではなくて、中央の権限を地方に与える、権限移譲だと思うのですが。

いかがでしょうか。
ラベル:診断士 経済
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2014年11月16日

診断士と副業

中小企業診断士と副業は相性が良いようです。

もちろん、ここで言う中小企業診断士はプロコンではなくて、企業内診断士のことです。

私の企業内診断士仲間でも副業をしている人は意外と多く、個人事業主の届け出をして、赤字分を給与所得から還付を受けている、ツワモノもいます。

ただ、サラリーマンが副業をする場合は、会社の就業規則で禁止されている場合が多いので、気をつけなくてはいけませんね。

でも、アルバイトをして則、懲戒処分になるかというと、そうでもなさそうです。

どのあたりに副業の限界点があるのでしょうか。

まず、法律では、公務員の副業は明確に禁止(地方公務員法38条、国家公務員法103条)ですが、民間企業の従業員の副業を禁止する法律はないようです。

極論すれば、副業を禁止する法律はないし憲法も就業の自由を保障してるんだから、就業時間外の副業について会社にとやかくいわれる筋合いはありませんね。

でも、何事もケジメは必要で、深夜バイトして翌日会社で居眠りしたり、ライバル企業に出入りして自社の情報を漏らしたりとか、そういうのはいけません。

法律で縛れない副業を、現実には「就業規則」で禁じているのです。

この就業規則は会社と社員とのあいだで決めたルール、すなわち雇用契約の一部として法的な拘束力を持ち、違反すれば割に合わない懲戒処分を食らうこともあります。

夜間に水商売のアルバイトをして解雇され、処分を巡って裁判で争われた結果、敗訴した、なんて例もあるそうです。

では、副業の限界点はと言うと、本業に迷惑をかけないことが原則です。

会社が副業を禁止するのは「業務に専念してほしい」「対外的な信用や社内秩序を守りたい」といった意図にもとづくものです。

以上の点を踏まえたうえで、副業したい人は、費やす時間や業務内容には十分気をつけることです。

たとえばネットオークションやアフィリエイトなど、誰に雇われるでもなく空いた時間にできる小遣い稼ぎなら、形式的には就業規則違反でも「実質的にはセーフ」と判断される公算が大きいようです。

もちろん、そっちにかまけて本業で遅刻や欠勤を繰り返してしまったとか、そういう事態になると話は別ですが。

逆に、明らかにアウトなのが、競合する他社で働くなど、会社の利益を損なう可能性が高いケースです。

要は副業するなら「本業に差し障りのない範囲でほどほどに」ってことですが、その一方で最近は副業を認める会社も増えてます。

ただ、これには「会社の給料で足りない分は自分でなんとかしてね」みたいな側面があるのです。

それはそれでなんとも切ない話ですね。

ラベル:診断士 資格 会社
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2014年03月01日

消費税の便乗値上げ

いよいよ、あと1カ月後に消費税が8%に上がりますね。

駆け込みで買いだめしたり、高価なものは、消費税アップ前に買っておこうとの動きも活発になってきました。

もう一つの動きが値上げです。

JRでは、スイカ利用で1円単位で3%分を上乗せします。

ただ、納得いかない便乗値上げ的な動きもあります。

たとえば、コカコーラは自販機購入120円を130円にするとのことです。

10円値上げって3%じゃないですね。

今回の消費税率の引上げに当たっては、個々の商品やサービスの価格が、新たな税負担に見合った幅で上昇することには納得できるんですが。

事業者が合理的な理由がないにもかかわらず、税率の上昇に見合った額以上の値上げをする場合、それは便乗値上げである可能性があります。

ただし、商品などの特性、需要の動向やコストの変動など、種々の要因を総合的に勘案する必要があるのも事実ですから、一概に便乗値上げと非難するのも問題ありかな。

そんな中、牛丼チェーン「すき家」は、2014年4月1日の消費税率の引き上げに伴い、牛丼並盛の販売価格を現行の消費税込み280円から本体価格250円(消費税込み価格270円)に値下げするんです。

あえて、このタイミングで値下げですから気概を感じますね。

結局は、自由競争中で消費者が賢く選択すれば、自然と便乗値上げには反動があると思うのです。

いかがでしょうか。



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2013年11月02日

イベントの経済効果

経済効果という言葉をよく耳にします。

最近では、2020年東京五輪の開催が決定し、7年後に向け早くも、その経済効果に期待が高まっています。

その予測効果の規模も約3兆円としてみたり、いやいや数十兆円と試算してみたりしています。

しかし、近年の五輪は開催費用が大きく膨らむ傾向にあり、ロンドンでは経済効果を上回る約3兆円ものコストがかかったとの試算もあるようなので寅狸にならなければ良いのですが。

まあ、そうした傾向をふまえて、東京都では予算を抑えた「コンパクトなオリンピック」を計画しているということなので、是非、費用対効果の高い大会を実現させてほしいものです。

一方、今年話題になったイベントの経済効果を見ると悲願の世界遺産入りを果たした富士山は、7〜8月の登山シーズンに観光客が増加し、富士山周辺のホテルや観光施設の売り上げがアップしたことで、100億円に迫る経済効果が生まれたそうです。

また、大ヒットドラマ『あまちゃん』も、ドラマの舞台となった岩手県にかなりの経済効果をもたらしました。

ロケ地の岩手県久慈市には震災前の約10倍以上の観光客が訪れ、「北三陸鉄道」のモデルとなった三陸鉄道の総乗客数は前年に比べて5割も増加したそうです。

ちなみに、経済効果は「その事象によりどれだけのお金が動いたか?」を示す指標であり、「儲かった額」を試算するものではないので使い方には注意が必要ですね。

震災復興を願う私には『あまちゃん』同様に東北を盛り上げているプロ野球「東北楽天ゴールデンイーグルス」の優勝を願っています。

悲願のパリーグ初制覇は復興に向かう地元・宮城県に大きな力を与えていますが、今日は、地元仙台で巨人との決戦があります。

仮にこのまま日本一になった場合、宮城県内に約200億円以上もの経済効果を生むと言われていますが、お金に換算できない心の効果は計り知れないと思うのです。
ラベル:診断士 経済
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2013年08月17日

労働時間規制の緩和

ホワイトカラー・エグゼンプションという言葉に記憶のある方も多いかと思います。

第1次安倍内閣時代に提唱されたが、あえなく断念した経過があるのですが、再び提案されそうなのです。

労働時間規制の緩和を言うのですが、具体的には、一定水準以上の収入があるサラリーマンを対象に週40時間が上限といった労働時間の規制を適用しないことを検討しています。

企業側の意向を強く反映した政策ですが、今の労働時間規制は時代遅れで、時間をかければ仕事の成果が上がるわけではないとの主張です。

時間で賃金が決まる労働を減らせば、効率もあがるし、私生活だって充実するはずとのこと。

全面的には賛同できませんが、合理的な理由もあり全否定はできませんね。

繁忙期に休日返上で集中的に働き、閑散期に休みをまとめてとるなどの、自分の判断で働き方を選べ、在宅勤務の活用も進むと考えられます。

半面、同制度の適用を受ける社員に対し、会社は一定の年俸と成果に応じた給与を支払いますが、労働基準法で定められている時間外労働に対する残業代が支払われないほか、休日や深夜勤務での割り増しなどもなくなるのです。

この労働時間規制の緩和で一番危惧するのは、日本の労働環境や企業倫理の低さです。

自由な働き方ができる?とメリットを述べるのですが、有給休暇すら完全消化できず、有給休暇消化率が世界最低水準の日本企業には、まだまだ先に議論し改善する項目が多くあります。

過労死もそうです。

認知されている以外のグレーゾーンも含め、これまた、日本は過労死も非常に多いのです。

労働の対価は時間では無く、成果である。

正論ではありますが、拙速に労働時間規制の緩和に踏み込む前に、過労死を防ぎ、今の制度の中でもメリハリのある働き方ができる社会を作ることが先ではないかと思うのです。

いかがでしょうか。

posted by ネット田中 at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月23日

42円ブローカー

42円ブローカーとは、太陽光発電事業を始めるための計画を他人の土地ででっちあげ、国の認可を無断で得た上で買い手を探す、悪質な仲介業者を言います。

固定買取制度の3月までの太陽光発電買取価格が42円だったことにちなんで、こう呼ばれております。

今年の4月以降は、37.8円に下がったため42円で売電できる権利は希少価値だということです。

なんで、こんなことができるかと言えば、国の認可の甘さがあると言われています。

土地を所有していなくても、設備や費用の見積もりなどがあれば認可が得られるのですから、ブローカーは、その甘さを突いてきたのですね。

土地の売買の仲介で紹介料を得る行為自体は法的に問題はありません。

ただ、土地ころがしのような行為が行われていることには厳重な注意が必要で、また、電力会社の送電網との接続には申請順になっており、悪徳業者が電力会社と連係協議を済ませていると、まっとうな事業者を締め出すことにもなりかねません。

再生可能エネルギーの推進にために取りきめられた固定買取制度も改善の余地がありそうです。
posted by ネット田中 at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月01日

原発コストと経済合理性

原発のない沖縄電力を除く電力9社の原発維持管理費が1兆2000億円かかるとのことです。

震災後、原発事故を契機に全原発が停止となる異常事態が続いていますが、経済合理性だけを考慮すれば、早期の稼動が得策のようです。

原発の運転には、減価償却費や人件費などで1兆5000億円程かかり、原発を止めても燃料費や再処理費用など3000億円程度が浮くだけなのです。

原発の維持管理費は、当然、電気代に反映されますので、これでは、電気料金が上がるのも当然かなと思うのです。

電気料金の値上げの痛みに合わせて、原油の輸入増加で国際収支も悪化する中、一部には、経済合理性から早期の原発稼動を訴える論調もでてきました。

ただ、だからと言って、安易には再稼働を容認したくはないですね。

先の原発事故の教訓を生かして、きちっと安全を担保した中での稼働を望むのです。

いかがでしょうか。
posted by ネット田中 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月20日

賃上げ要請

安倍首相や茂木大臣が経済団体へ盛んに賃上げを要請しています。

昨年の衆議院選挙を境にして、アベノミクス効果なのか円安は進み株価も高騰を続けています。

新政権のスタートダッシュは絶好調と言えるかもしれませんね。

でも、アベノミクスと言っても、現実的には、まだ何も実施しておらず、予算と日銀総裁、TPP交渉参加が決まった段階です。

期待値から支持が増えていますが、これからが正念場かもしれません。

その上げ潮ムードを更に推し進めようとの思惑でサラリーマン給与を上げるように経済団体へアプローチしているんですね。

確かに、給与が上がらなければ実感として経済が好転したと思いません。

バブル崩壊後、右肩さがりの賃金が果たして上がるのか興味深いのですが、一方で自由主義社会の中で政府が民間に賃金などについて意見を言うのはルール違反との批判もあります。

また、大企業中心の経済団体へ要請してもサラリーマンの7割を占める中小企業との格差が広がるだけで日本全体の需要喚起には至らなとの指摘もあります。

ただ、無意味かと言えばそうとも言い切れません。

ましてや、過去に、こう言った要請をした政権があったでしょうか。

批判もありますが、やれるものは何でもある姿勢は大いに評価したいと思うのです。

デフレから脱却し企業業績が好転し個人所得が増え、需要が伸びて更に経済が好循環する。

そう簡単に行くまいと思いつつも、もしかすると?と想像するようになっただけでも前進か思うのです。

いかがでしょうか。
ラベル:経済 賃金
posted by ネット田中 at 10:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月19日

プライマリーバランス

政府は、2020年度にプライマリーバランスを黒字にする目標を掲げています。

プライマリーバランスとは、国と地方の基礎的な財政収支のことで、会計総額から借金関係の収入と支出を除いたものです。

借金以外の総収入と利払い費用を除く総支出とのバランスですので、プラスになれば財政が良くなる方向に向いていると言えます。

超大雑把に現在は46兆円の収入(歳入)に対して68兆円の支出(歳出)で約22兆円のプライマリーバランスが赤字の状態なのです。

それを5年後の2020年に黒字化するのですから、容易でないことは一目瞭然ですね。

その間に消費税アップがありますが、これも超大雑把に1%で2兆円くらいですから5%上がっても10兆円で22兆円には遠く及びません。

やっぱり、経済再生による、税収増を狙うしかないんですね。

ただ、鋭い指摘をする人もいて、もともと、大企業優遇と富裕層優遇の税政策が大借金を生んだとしています。

その論旨というのは、これも超大雑把に日本のGDPは現在480兆円で20年前の420兆円から60兆円増えています。

歳入はというと現在の46兆円に対して50兆円あったのです。

経済規模は大きくなっているのに税収は少ない、その心はというと、金持ち税優遇のせいだというのです。

法人税率を引き下げ、所得税の最高税率を引き下げ、徹底的にお金持ちの税金を安くしたんですね。

その代わりに消費税を導入しましたが、逆進性がある税制度ですので低所得者ほど負担感は大きくなりました。

経済再生と財政再建はなかなか両立しにくいと言います。

所得税の最高税率も45%にあがりそうですが、ここはひとつお金持ちの方に、もう一段の負担していただいても良いのではないかと思うのです。
ラベル:診断士 経済
posted by ネット田中 at 11:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月09日

アベノミクス

「アベノミクス」は、安倍首相の名前に「エコノミクス」をくっつけた造語です。

安倍首相の経済政策(アベノミクス)のおかげ?で年末・年始にかけて円安・株高が進展していますね。

まずは、市場は、安倍首相の積極的な経済政策を好感した模様ですが、長続きするかどうかは、これからの舵取りにかかっています。

「アベノミクス」は、金融緩和、財政出動、成長戦略の3つの柱で経済成長を遂げようとしていますが、最大のポイントは、成長戦略ではないかと思うのです。

金融緩和も財政出動も諸刃の剣で、失敗するとハイパーインフレや財政破綻を招きかねない、禁じ手を使うと言うのですから心配に成らざるを得ません。

そりゃ、補正予算12兆円で公共投資にあてれば一時は景気も上向くでしょう。

ただ、持続するかなんです。

いくら金融緩和して、財政出動しても、目標の経済成長を遂げるためには、民間消費と企業の投資・生産を活発にしないと意味がありません。

成長戦略の柱である構造改革については、前政権時代から議論が尽くされており、これからは、実行力が試されていると思います。

その象徴として私が注目しているのが、TPPと原発問題です。

半分が賛成すれば半分が反対するもので、全員が賛成する構造改革はありません。

必ず痛みを伴う者がいて、それを鑑みても尚、進める気概と信念が試される場面ではないかと思うのです。

間違っても、バラマキと族議員復活で元の自民党に戻らないことを祈るのです。
ラベル:診断士 経済 国際
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2012年12月20日

プライベートブランドという流通革命

イオンの「トップバリュー」にセブンイレブンの「セブンプレミアム」、ともにプライベートブランドと呼ばれるものですが好調に売上が拡大しているそうです。

消費者にとっては、ナショナルブランドとほぼ同等の品質で安価に購入することができるので人気となるのです。

製造側に視点を移してみると良い点と悪い点が共存しているようですね。

一定規模の受注が確約されることでコスト削減や経営の安定化に寄与しますが、小売側の交渉力が強くなりますのでどうしても利益率が低くなります。

次にプラベートブランドを企画する小売業者側に視点を変えると見える姿がやはり違ってきます。

良質な商品を大量に製造・販売できるうえ、卸業者が抜けることで中間コストを削減できるメリットがありますが、反面、大量に商品を抱えることから売れ残りのリスクを一手に負わなければなりません。

ただ、消費が冷え込む中で、商圏や店舗の特性に応じ、ターゲット顧客に合う商品を企画することで、新たな需要を作りだしているのです。

そういった小売業の中でもお馴染みのコンビニのプライベートブランド化は目を見張るものがあります。

たとえば総菜カテゴリーにはパウチに入った小容量の惣菜は、単身世帯の増加や主婦層の時短志向を背景に伸びておりチルド棚には、プライベートブランドの総菜が一面に並べられています。

製造、卸、小売を川上から川下へモノが流れると昔は言われてきましたが、情報は川下から川上へ流れているようです。

消費者の嗜好をキャッチし、売れるモノづくりに展開するプライベートブランドの進展は、まさしく新たな流通革命の目玉と言えそうです。

ラベル:診断士 経済
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2012年07月16日

中小企業と格付け会社

世界的な大手格付け会社への風当たりが強くなっています。

欧州債務危機でも各国の国債格付けを引き下げ各国政府から非難を浴びました。

一見非常識に見える非難ですが、各国の言い分もあり、財政や経済の数字だけで決めるべきでなく各国の特徴を考慮すべきだと主張します。

でも、各国の特徴を考慮すると、もっと大きく格下げされることもあります。

ようは、あまりに大手格付け会社の影響力が巨大化したことへの恐怖心なんですね。

ちなみに三大格付け会社は、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチの3社ですが、すべて米系会社なのも気にかかります。

ところで、我が日本の中小企業にも格付けは、強く経営に影響しています。

日本にも日本の中小企業の信用力を格付けする信用調査会社がありますし、金融機関も独自に企業の信用力を調査し格付けしています。

銀行は、主に融資審査の基準として調査しています。

信用調査会社を利用する典型ケースでは、商取引をする場合に信用調査をするケースが多いのです。

特に大手企業が中小企業と取引する場合、信用調査のレーティング(評価点)で取引可否を判断することもあります。

格付け会社には、公平性と正確性の確保は是非お願いしたいものですが、中小企業経営のひとつの基準と考えることもできます。

中小企業事業者が、自分の会社の格付けを見て、外部から見た場合、どこに問題があると評価されているかを研究することは意義があります。

意外と会社内部では見過ごされていた弱み(逆に強み)に気づくこともあるかもしれませんね。
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2012年01月08日

エダノミクスとマエハラノミクス

混迷する民主党の経済政策に2つの対立軸があります。

今朝の朝日新聞の記事がとても面白かったので紹介します。

経済産業大臣の枝野さんと民主党政調会長の前原さんですが、その経済政策は両極と言われているそうです。

かつてのアメリカ大統領レーガン氏の経済政策をレーガノミクスと呼んだのを真似て、エダノミクスとマエハラノミクスと命名しました。

枝野さんの主張は、経済成長にこだわらず、幸福を実感できる新しい暮らしを求めようとしています。

枝野さんは、経済成長を掲げない初の経済産業大臣かもしれませんね。

対する前原さんは、グローバル市場に進出し、あくまで成長を追求しようと訴えています。

日本国内市場が萎む中で成長するアジアなど海外に進出し豊かさを取り戻そうと言うのです。

二人とも40代の若きリーダーです。

日本が選びうる今後の道を二人の動向から見ていきたいと思うのです。

ラベル:診断士 資格 経済
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2011年12月03日

稼げる資格は何か

中小企業診断士の資格は、足裏の米粒とよく揶揄されました。

とっても食えないという意味ですね。

現在、国家資格で約310種類、民間資格は数千種類あると言われています。

経済不況の中で資格取得ブームは続いているようです。

ところで、将来稼げる資格って何なんでしょうね。

キーポイントはあるようで、過去の仕事のキャリアを生かせる資格かどうかが重要です。

仕事での経験は、顧客ニーズの把握や経験に基づいた説得力のあるアドバイスにつながるからです。

中小企業診断士は、比較的営業職だった人に向いており、人事総務職の人は社会保険労務士、不動産業界の人ならば、宅建やマンション管理士が向いているようです。

ただ、当然ながら資格をとったから、すぐに稼げるわけではありません。

また、法律の改正や時代の変遷に伴い、知識の更新、つまり継続的な自己研鑚が必要となります。

時代が変わり、資格選びに変化も見られます。

従来型の資格をとって奮起一点、独立開業では無く、余生に役立つ資格が注目されています。

つまり、収入は少なくとも、定年退職後、暮らしの参考になったり気持ちが豊かになる資格です。

そうなれば、資格は財産になりますね。

皆さんも自分にあった資格を探してみてはいかがでしょうか。
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2011年10月01日

完全失業率の意味

政府が30日発表した8月の主要経済統計の中で、完全失業率が前月比0・4ポイント低下の4・3%でありました。

ギリシャを発端としたユーロ問題、超円高と震災に疲弊する日本経済に合わせて株価の最安値更新など、日本経済になんの良いところが無いと思いきや、完全失業率4.3%で改善とありました。

ほんとうに経済って分かりませんね。

ただ、新聞でその記事を読む先の目の前のテレビで難民受け入れの報道がありました。

日本は、難民受け入れの超ネガティブ国なんですね。

それの良い悪しは別として、日本の少子高齢化が進めば働き手がいなくなり、アメリカのように移民を受け入れるのも一つの手かと思います。

また、円高で輸出企業は確実に海外移転し日本産業の空洞化は避けられようにありません。

今は、日本人の働き手の減少と企業の海外移転と外国人参入の中で微妙なバランスを保っていると見ることができます。

失業率4.3%は、アメリカやフランスの約9%の半分です。

微妙なバランスの中でも日本経済が結して弱くない事をうかがわせる数値ですね。

皆様の実感としてどうでしょうか。

雇用統計を見ても、あまりに悲観的な報道が多いと思うのは私だけでしょうか。



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2011年08月15日

診断士の実態(収入編)

中小企業診断協会の広報誌「起業診断ニュース」に「中小企業診断士活動状況及びコンサルティングニージ等に関するアンケート調査」が発表されました。

この種の調査記録はほとんどなく、前回の調査が6年前の2005年で、今回が2011年度版となり、とても興味深い内容となっていますので紹介たします。

まずは、いきなり少し下世話な話になりますが、診断士の収入ってどのくらいでしょうか。

噂では、年金診断士が大多数でほどんどが200万円以下とか、1000万円年収もざらに?とか、ほとんどが身近な人をイメージしての噂レベルでしかありません。

今回のアンケート調査では、経営コンサルタント業務を100日以上行っている者の年間売上を質問しています。

100日以上とすることで、実質の生計を立てる就業者と見なせますし、売上は診断士の場合、若干の経費を差し引いた額をほぼ年収に近い金額と見なせるでしょう。

結果は、売上1000万円以上の診断士の割合が3分に1以上を占めていました。

また、2000万円以上も12%を占めてます。

正直、結構稼いでいるな、という印象を持ちました。

ちなみに、300万円以下は12.5%となっています。

年代別にみると30歳代で501万円〜1000万円の44%が最多層で、40歳代で1001万円〜2000万円の層が30%で最多層、50歳代で1001万円〜2000万円の層が35%で最多層、60歳代で501万円〜1000万円の層が36%で最多層となっている。

30歳台から50歳代に向けてピークを迎え60歳代から下降傾向にあると見られます。

ただ、60歳代の注意点は、会社を定年リタイアした後に初めてプロ診断士になる典型的なケースが多く含まれており金額を抑えているものと推察致します。

次に診断士登録後の経過年数でみます。

1,2年では300万円以下、500万円以下、1000万円以下がそれぞれ4分の1づつです。

3〜5年では、300万円以下がぐっと減り、6〜10年で501万円〜1000万円の層が最多となります。

よく診断士は、1,2年目は食えないと言われていますが、アンケート調査の限りにおいては、そんなことはなく、むしろ501万円以上の者が300万円以下を上回っていることがわかります。

また、6年目以降で4割が売上100万円以上超えており、理想的なパターンを描くと1,2年目で500万円超で5年を超えて経験を積むと1000万円超となり、実力さえあれば全体の12%が2000万円超を狙えるとなります。

プロの診断士が結して生易しい仕事ではありませんが、逆にそれを自覚しながら独立に踏み切るところが成功者を生む要因と私は思うのです。

参考になりましたでしょうか。






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2010年12月18日

コストをデザインする

「Design to Cost」という言葉をご存知でしょうか。

1970年頃にアメリカの政府調達で用いられた言葉なのです。

この「Design to Cost」というアプローチが企業の競争力確保の戦略として、改めて脚光を浴びつつあります。

なぜかというと、これまでのようにコストを積み上げて商品を開発するアプローチでは、市場を開拓できなくなっているからです。

ポイントは、市場に受け入れられる価格を決めることです。

そして、その価格で利益を出しつつ競争力のある製品・サービスを企画・設計するのです。

品質を落としたり、調達価格を値下げさせたりといったアプローチではありません。

事例をご紹介しましょう。

富士フイルムのデジタルカメラ、1020万画素で光学3倍ズーム付き、顔認識機能などが付いて、なんと89ドル(約7500円)です。

日本国内ではあまり見かけませんが、昨年の発売以来、中国やインドなどの新興国で300万台以上も売れている大ヒット商品となりました。

実はこのカメラ、製品を企画・設計する段階から「90ドル以下で販売する」ことが決まっていたそうです。

そうでなければ、新興国では売れないと考えたからです。

だからといって、既存製品の機能や部品を削った廉価版では、製品の魅力は薄れてしまいます。

そこで富士フイルムでは、89ドルという目標価格を起点に、デジタルカメラをゼロベースで企画・設計から見直したそうです。

コストは積み上げるものではなく、デザインするもの。

イノベーションのキーワードの予感がするのです。


ラベル:診断士 資格 経済
posted by ネット田中 at 08:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月11日

NICES(ナイセス)

12月8日の日経新聞でNICES(ナイセス)が発表されました。

NICES(ナイセス)は、企業を取り巻く、投資家などの様々なステークホルダーに着目してそれぞれの観点から企業を分析し、総合ランキングを作る企業評価の仕組みです。

もっと簡単に言うと、企業の業績や働きやすさを評価するシステムと言えます。

日本経済新聞社グループが開発したもので、1000点満点で企業を評価し2010年4月に初めて発表しましたランキングなのです。

「NICES」は、

N:Nikkei(日経)
I:Ivestor(投資家)
C:Consumer(消費者・取引先)
E:Employee(従業員)
S:Society(社会)

の略称ということです。

気になるランキング(上位10社)は下記の通りです。

1 キヤノン  880
2 ホンダ  868
3 武田薬品工業  861
4 NTTドコモ  857
5 KDDI  851
6 資生堂  832
7 パナソニック  831
8 コマツ  827
9 東芝 825
10 アサヒビール  818

堂々たる上場企業ばかりですね。

ちなみに、自分の勤める会社は何位かな?

ランキング外ということで、複雑ですが、やっぱりという納得感があるのです。
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posted by ネット田中 at 12:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月20日

羽田の乗客数はフェルミ推定で

羽田空港の1日の乗降客数は何人でしょうか?

外資系のコンサルティング会社の入社試験でよく出題されるフェルミ推定の問題です。

説や推定を積み重ねて、おおよその概数で計算する方法を『フェルミ推定』と言います。

昔、マイクロソフトの入社試験に採用したことから、世界的に有名になりました。

日本では、『地頭力』という呼び名で紹介されましたね。

もともとは、イタリア生まれのノーベル物理学者のエンリコ・フェルミが亡命先のアメリカの大学で学生に出した問題が発祥でこの名が付けられています。

しかし、この考え自体は、マーケティングやビジネス分野では、もともとよく使われていました。

一見つかみどころが無い問題でも、論理的に仮定を組み立てていくと解答にたどりつきます。

記憶力が頭の良さの尺度としてきた、日本の教育にも影響あるかなと、考えさせられます。

ところで、先の問題ですが例解を示します。

1機あたり約300人の乗客で搭乗率が8割、発着飛行機便が1時間当たり45便で1日18時間とすると、約18万人となります。

ただし、第4滑走路が稼働し、24時間化が進むと格段に増えることは、直感的にわかりますね。

フェルミ推定の素晴らしいところです。

ラベル:診断士 資格
posted by ネット田中 at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の経済問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする