先週は、所属会合で元銀行マンの診断士仲間からセミナーレクチャを受けました。
とても含蓄のある話で事業者支援にも生かせる内容ですので備忘録も兼ねて記事にします。
銀行は何故審査するのか?
ズバリ、経営者の人柄、考え方をみて「与信」を見定めるためです。
実は、雑談の中からすでに審査は始まっていて、相手の身なり、服装、話題の中から品定めをしています。
「第一印象」はとても大事で、「何か引っかかる」と思った先は融資手続きに時間が掛かったり、倒産したりと問題となることが経験則からも言えるそうです。
審査のポイントは3点、<ヒト・モノ・カネ>をみる。
しかも、この3つが揃っていないと融資で失敗する可能性大とのこと。
ヒトの審査とは、この社長にお金を貸してちゃんと返ってくるか、融資のお金を有効活用してくれるか、長く付き合っていける先か等。
会社が儲かっていないのに高級外車に乗っている、社長の自宅がやけに豪華、身なりが派手、遊びが派手、愛人がいるというケースはヒトの審査で落ちてしまいます。
また、意外にも節税好きな社長や税理士を銀行は好きではありません。
返済能力が減る(融資可能額が減る)、自己資本が積みあがらない、節税する(お金が出て行く)、本来の収支が分からなくなる
と言う理由から。また、流行った?保険料を使った節税対策も審査という点ではマイナスだと。
モノの審査とは、事業に強みや将来性があるか、融資で伸びる可能性があるかといった銀行に収益をもたらすかどうかという観点で見ています。
カネの審査は、決算書で判断します。
「会社には銀行用、税務署用、取引先用の3つの決算書があると言われる」銀行は提出された決算書が正しいかどうか、粉飾がないかどうかを調べます。粉飾を見つけるようになれると一人前と言われました。
簡単な粉飾は、勘定科目を3期〜5期並べてみると科目の推移に異常があれば浮かび上がってきます。
では、決算書はどこから見るか。
利益がどれだけ出ている会社かと、P/L損益計算書から見る人が多いのでは?(私がそうでした)
銀行員は、B/S貸借対照表から最初にみて、利益剰余金をその会社の業歴で割り、過去の平均利益を計算します。
当期利益と見比べ、最近儲かるようになった企業か、昔はよかったがじり貧になってきた企業かを判別し、
儲かっていた企業が連続で赤字を出し始めると立ち直るのはなかなか難しいと、これも経験則で言われているそうです。
銀行融資の裏側の一旦を見ましたが、
銀行は「晴れている時には傘を貸すが雨が降ったら貸してくれない」とよく言われます。
日頃から、銀行をファンにし味方につけることをお勧めしています。
その一つとして、業績のいい時にお金を借りると、銀行と良好な関係が作れるようになります。
低金利の時代、節税をするのであれば借入をして手持ち預金を増やし1年ぐらいは売上がなくてもやっていけるぐらいの会社にする方がこれからの時代は良いかと思います。
金利は経費、将来の業績悪化の時に備えた保険と思えば決して高いものではありません。
国は、銀行に事業性評価による伴走支援を求めています。
銀行では、融資以外の商品も売らなくてはいけないうえに、残業をすることができず、時間がないのが実情とのこと。
中小企業の経営者もコロナの次は円安での物価高、賃上げにどう対処すれば良いか等、経営課題が山積。
また、ゼロゼロコロナ融資の借換え支援をしてもらいたい企業がこれから増えていきます。
診断士も銀行審査の裏側を知ることで、銀行担当者が稟議を書きやすい資料を提出できれば、銀行との関係強化が図られます。
今後は、頼りになる存在として経営改善計画書等の作成支援も望まれます。