運輸会社に勤める運転手が60歳定年で再雇用されましたが、業務内容が全く同じなのに賃金を減額するのは違法ではないかと争われた裁判です。
結果は、違法では無いとの判決でした。
企業の人事担当者は、ホットし、定年を迎えるサラリーマンは残念なことでしょうね。
でも、この問題は減額の幅に触れていないのがポイントで、今回の事案では約8割に減給されたケースで、それまで良い目をみたんだから、そのぐらい許容されるよ、との見方もあります。
つまり、大幅な減額で例えば50〜60%などの場合は、また、別な判断になりそうです。
実は、この水準って大企業の半数以上が定年後の再雇用時に採用している賃金レベルなんです。
また、今回の判例を下にし、政府はガイドラインの見直しを行っています。
働き方改革法が2019年4月(大企業、中小企業は2020年4月)に施行される前に対策を講じる必要があります。
いっぽう、同一労働同一賃金については、もう一つの論点に正規・非正規労働者の格差是正問題がありますが、こちらは、手当など違法との判決が出ていますので、こちらも深刻ですね。
業務が同じで責任が同じならば同一賃金にすべきとの同一労働同一賃金ですが、60歳で定年した人の約8割は、そのまま再雇用で働いている、現状を見ると、再雇用者への不合理な待遇格差の是正は避けて通れそうにありません。
人口減社会で高齢者を加えた社会を支える仕組みをつくるためには、一定の待遇を確保して、働く意欲を高める仕組みが必要となります。
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