比較優位の法則は、もともとは自由貿易に関して生まれた考え方で、経済学者のデヴィッド・リカードという人が18世紀に提唱しました。
1つの国が他の国と比較優位を持つ製品の生産に集中特化して、他の製品は輸入すると、それぞれの国は、より多くの製品を生産したり消費できるという理論です。
リカードが提唱したモデルでは2国2財1要素を仮定しました。
2国2財はわかりますね。
1要素は生産要素のことで主に労働力をさします。
この比較優位の法則は、2国間の貿易だけでなく、いろんな場面に応用されています。
例えば、経営に関してです。
とても優秀な経営者が営業担当者を雇うかどうか思案中です。
営業力に関しても経営者の方が営業担当者より有能でした。
さてどうすればよいか?
答は、経営者は経営に専念し、営業は営業担当者に任せる、ということになります。
一見すると、経営も営業力も、絶対的に優位な能力を持つ経営者がやればよくて、営業担当者を雇う必要はない、となりそうですね。
そうではないと考えるのが比較優位の考え方です。
経営の仕事に関して、経営者と営業担当者との間には著しい能力差があります。
営業力に関して、経営者と営業担当者との間の能力差は経営力の差ほど大きくありません。
このとき、営業の仕事に関して、営業担当者が比較優位にあると言います。
つまり、時間は有限で、体は一つ、自分でこなしていた営業の仕事を担当者に任せれば、その時間を経営の仕事に回せます。
営業の効率は少し落ちますが、それ以上に経営の効率が高まるので、トータルでの生産性は大きくなると考えるのです。
会社には必要のない人はいません。
その人の比較優位な役割を与えることが経営ではないかと思うのです。
2010年04月17日
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