1年を通して忙しい繁忙期と暇な閑散期が存在する業種を「季節要因業種」と言います。
廻りにたくさんありますね。
今ならスキー客で賑わう温泉地などは繁忙期です。でも、雪の無い夏には閑散となります。
夏の海の「海の家」は一時の1〜2ヶ月が稼ぎ時で、その他の月は閉鎖します。
実はかつての航空会社も季節要因業種と言われていました。
1年の第3四半期(7月〜9月)に1年間の収益を稼ぎきり、残りの期間の赤字を埋めていました。
ピーク需要に合わせて設備投資をしなければならない業界の宿命でした。
それと日本特有の羽田・成田の発着枠問題が加わり長く恒常的にこの現象が続いたのです。
夏場のピークに対応する方策には、二つの選択がありました。
一便あたりの乗客数を増やすか、または、便数そのものを増やすかです。
結論から言うと前者の方法を採らざるを得ませんでした。
後者は先の発着枠問題があるからです。
大型航空機を導入し1便で載せられる乗客数を増やしたのです。
でも、この問題の最大の欠点は閑散期にはガラガラの乗客数の状態で運行せざる得ません。
ただ、この状態でも航空会社は、なんとか黒字を確保してきました。
状況が変わったのが、2001年の同時多発テロとその後に起こったサーズ問題です。
JAL日本航空は強気の需要予測で大型輸送体制を継続し、ANA全日空は機体のダウンサイジングを敢行しました。
結果は、皆さんのご存知の通りです。
時代の変化を読む力が経営に与える影響が深刻なのがお分かりいただけるかと思います。
ちなみに、現在では、JALも追随し、両者とも季節要因の平準化が図られています。
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