ワークシェアは「仕事の分かち合い」という意味で使用します。
昨今の雇用不安から再び脚光をあびてきました。
政治はねじれ国会で効果的な雇用対策を打ち出せず、また、労組は景気急減速の中で大幅賃上げを求め春闘にいどうもうとしています。
企業経営者はご存知のようにまっ先に人員削減に動いています。
政治、労組、企業の三者がそれぞれ雇用不安解消に逆行した動きをしています。
そんな中で、じわじわ導入議論に躍り出たのがワークシェアリングです。
そのお手本としようとしているのが26年前のオランダの試みです。
政治、労組、企業の政労使3者が協定を結びました。
ワッセナー協定と呼ばれ、政府は財政支出を抑えて大型減税を行い、労組は労働者の賃金抑制を受け入れ、企業経営者は雇用機会を増やすとしました。
雇用を確保しながら同時に企業競争力を高めるために、政労使が痛みわけの誓約をしたのです。
このワッセナー協定を基礎にして具体的に導入された施策がワークシェアリングというわけです。
当時10%台の高失業率を克服し欧州の優等生と呼ばれるまでになったのです。
ワークシェアには二つの類型があります。
雇用創出型と緊急避難型の2類型です。
雇用創出型は短時間勤務を正社員に認め、仕事の自由度を高めながら雇用を増やすことです。
あくまで、社員の自由意志(もちろんルールに基づいた制限の範囲で)で仕事の時間を決められる点に特長があります。
緊急避難型は不況期に一人当たりに労働時間を減らし雇用を維持する考え方です。
欧州各国でも日本でもとられた手法で、その典型例では一定期間の工場休業などがあります。
日本でも1999年に日野自動車が1日8時間勤務を7時間に短縮し、人件費を削減する代わりに雇用を維持したのが有名です。
緊急避難型はその名の通り一時しのぎです。
しかし一時しのぎでも効果が見込めるならば実施すべきではないでしょうか。
また、働き方への意識の変化などを受けて長期的には雇用創出型を目指すべきと思います。
それにもまして、先のオランダの例にもあるように、一番の肝は、政労使の三者が痛みを分かち合えるかがポイントと言えそうです。
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