2008年10月02日

比較優位の原理

二国間の貿易で、各国が相対的に低費用で生産できる財に特化し、相手国から輸入すれば両国とも多くの利益を得られる。

これが比較優位の原理で、古くは、1800年代初頭にリカードという経済学者が提唱しました。

例えば、世界に日本とアメリカだけが存在したとします。

日本は、一人で1台の車をつくり、2人で1トンの小麦がつくれるとします。

アメリカは、四人で1台の車、3人で1トンの小麦です。

一見すると、車も小麦も日本でつくったほうが効率的に見えますね。

ところが、比較優位というところがポイントで、日本は車が、アメリカは小麦が比較優位となります。

自由貿易が完全ならば、日本は三人で車をつくり、アメリカは7人で小麦をつくれば、より大きな生産が可能となります。

前者だと、日本が車1台と小麦1トン、アメリカでも車1台と小麦1トンで合計が車2台と小麦2トンとなります。

後者だと、日本で車3台、アメリカで小麦約2.3トンとなります。

どうでしょうか。

貿易を通じたグローバルビジネスの効用を説くうえで、とても説得力がありますね。

実は、この理論は広く企業戦略にも生かされています。

その好例で世界的に有名なのがアメリカのGE(ゼネラルエレクトロニクス)という会社です。

80年代当時、エレクトロニクスメーカーのGEは金融業をはじめ多くの事業を抱え、業績は下降の一途で倒産もささやかれました。

そこに登場したのがかの有名なジャック・ウェルチ氏です。

彼が断行したのは、業界で3位以下の事業は全て売却したのです。

まさしく、比較優位なモノ(財)に経営資源に集中したわけです。

ご存知のようにGEは見事に業績を回復し世界トップ企業となりました。

最近の経済ニュースで再びGEは家電部門の売却方針を打ち出したとの事です。

家電製品は、タイなどの東南アジア諸国の比較優位な財なのです。

近年、日本の中小企業、特に製造業の苦しい経営状況が問題となっています。

日本の中小製造業も比較優位の理論にたてば決して悲観すべきではないと思うのですが。

いかがでしょうか。
posted by ネット田中 at 12:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士のビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック