2008年09月15日

不法原因給付

今年6月に最高裁判所で画期的(常識破りな?)判決がでました。

ヤミ金融業者に対して、借金をしていた債務者が訴えた裁判です。

何が画期的かと言うと、例えば、100万円借りて、膨らんだ利息が200万円、返済が150万円あったとします。

ここで、幾ら返せ(損害賠償額)と最高裁判所は裁決したでしょうか?

常識的に考えれば、利息200万円は違法だから返さなくていいでしょうね。

返済が150万円で借金元本が100万円だから、差し引き50万円返せ!と思うでしょう。

実は違ったのです。結論は、150万円を返せと裁決しました。

ということは、借りた元本100万円は一切返済不要ということです。

この判決を裏付ける民法上の概念が「不法原因給付」です。

近代私法の原則に契約自由の原則があります。

契約自由ですから、Aが他人のパソコンをBにもCにも売る契約をしても、契約は無効にならないんです。

なぜなら、無効ならAは何の義務も責任も負わなくなるからです。

でも、いくら契約自由といっても法が認めない契約があります。

例えば、愛人契約や殺人契約などです。

契約してお金をだしたのに、愛人になってくれない、人を殺してくれない、と裁判所にお金を返してくれと訴えても、裁判所は一切手助けしませんね。

不法原因給付は、無効な契約で金銭を給付されても裁判所を通じて取り戻し請求できないという意味です。

ヤミ金融との金銭消費貸借契約は、愛人契約や殺人契約と同じということです。

この画期的な判決、一部のジャーナリストでは、異論もでています。

借りた物は返すという一般常識に反し、ヤミ金融からは借り逃げし放題なのか、とのことです。

でも、利息制限法で年利15%に対して、ヤミ金融でいうトイチは年率3000%です。

最高裁ひさびさの画期的な大岡裁きだと私は思うのですが。
posted by ネット田中 at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の社会問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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