2024年05月06日

SBTで脱炭素

SBTは、Science Based Targetsの略で「科学的根拠に基づいた目標設定」と言う意味、企業の温室効果ガスの排出削減目標のことを言います。
所属する、さいたま総研では、このテーマの研究会を発足させ中小企業支援にも生かそうとしています。
まずは、研究テーマの整理として記事しました。

1.SBTの到達イメージ
  4.2%/年以上の削減を目安として、申請時から5年〜10年先の目標を設定する。

2.企業がSBTに取組むメリット
  パリ協定に整合する持続可能な企業であることを、ステークホルダーに対して分かり易く アピールできる。

3.SBT設定基準
  ・企業全体(子会社含む)*のScope1及び2をカバーする、すべての関連するGHGが対象
  ・目標年は申請時から最短5年、最長10年以内
  ・目標水準は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑える削減目標を設定しなければならない

4.SBTが削減対象とする排出量
  ・サプライチェーン排出量(事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関係するあらゆる排出を 合計した排出量)の削減
   サプライチェーン排出量=Scope1排出量+Scope2排出量+Scope3排出量
   Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
   Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
   Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

以上 個々詳細は次回に。

ラベル:SBT 脱炭素
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2024年04月30日

賃金と日本型雇用システム

昨今、物価高には追いつきませんが、賃金も少し上がっているように思います。これが持続するかが大事なのですが。

所属する会合の勉強会、
会員識者から賃金に係る日本型雇用システムの功罪についての発表がありましたので、備忘録兼ねて記事にします。

日本では当たり前のように考えられている「年功序列」や「終身雇用」をベースとした日本型雇用システムですが、現在の経済環境の変化に合わず日本の経済成長を阻害する足かせになっているという専門家の意見もよく聞かれます。一方で、この日本独自の雇用システムは聖域のように考えられ、正面から改革に取組もうとする具体的なアクションは今も乏しいように感じられます。今回は聖域となりなかなか具体的な改革が進まない日本型雇用システムの功罪分析をベースに、今後目指すべき方向性について提案したいと思います。

1.日本型雇用システムの起源
日本型雇用システムは日本の伝統的なものではなく、戦中戦後に本格的に普及したものです。例えば、明治時代には少しでも条件が悪いと頻繁に職場を変え、終身雇用という発想は全くなかったそうです。ところが、昭和の大きな戦争が始まると国の軍需産業の増産要請で人手不足となり国が労働者の動員や配置、移動制限等を厳しく管理し始め、年一回の定期昇給や退職金の義務化等、厳格な労働者統制を実施したため、この制度が現在の日本型雇用システムに繋がっているようです。つまり戦時中の呪縛でもあるのです。

2.日本型雇用システムの特徴と実態
日本型雇用システムの特徴として、不況時でも解雇されない長期雇用保障による安定や企業による人的資源の安定した確保と教育等が言われてきましたが、その実態はどうでしょうか?終身雇用・年功序列制度の実態は、若年期の賃金一部強制出資+年功賃金・退職金による将来返還であり、生涯を通じた後払い賃金になっています。そして、この出資分を守ることが企業別労働組合の主な役割になっているとも言えます。また、低成長で雇用維持が難しくなると長期雇用慣行の見直しを避け、非正規社員の増加で対応するようになり、90年代以降非正規社員比率は40%近くまで上昇しました。正社員と非正規社員の身分格差が日本型雇用システムにおける長期雇用の隠れた本質であると言えます。

3.日本型雇用システムの過去の成功体験
1980年代までの日本では日本型雇用システムが大いに機能し、当時は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(エズラ・ヴォーゲル著/1979年)とも言われ、大いに注目されました。しかし、成功の背景はこの日本型システムに1980年代までの経済環境下では、極めて高い経済合理性・優位性があっただけで、普遍的に持続可能な優位性ではないと考えます。その後の日本経済の長期低迷、失われた30年の現実はその証左ではないでしょうか。

4.日本型雇用システムの改革の必要性
過去の成長時代には経済合理的で大きな役割を果たした日本型雇用システムですが、現在の低成長・女性活躍・高齢化社会での弊害が著しく、また、米ギャラップ社が定期的に行ってる「従業員エンゲージメント調査」においても、日本は他国に比べ圧倒的に低い結果となっています。もはや日本型雇用システム(終身雇用・年功序列制度)を守るか守らないかの選択を考えるのではなく、実態として持続可能ではないという前提で改革の必要性・社会のあり方を考えるべき段階にきているのではないでしょうか。日本政府においても労働市場改革の目玉として@リスキリング(学び直し)A職務給(ジョブ型人事)の導入B労働移動の円滑化による三位一体の労働市場改革を掲げてはいますが、具体的なアクションや労働法制の法令整備は遅く、改革に不可欠な雇用ルールの具体的な見直し等には至っていない状況です。

5.大企業における労務・人事改革の成功例
このような状況下で労務・人事改革に積極的に取組み、稼ぐ力を取り戻して再生した日本企業の例として日立製作所が挙げられます。バブル後の失われた30年を象徴する存在で、1990代はゆでガエル状態で変革が進まず、2001年〜2010年の累計最終損益は1兆円以上の赤字を計上した日立製作所ですが、企業組織を「利益や付加価値を伸ばすための機能集団」と再定義し、ジョブ型雇用を進めることにより従業員の課題発見・創造性や自主性の醸成を促進し、事業戦略につながった企業組織への変革を実現しています。具体的には、@仕事の見える化(ジョブディスクリプションの導入)A人の見える化(統合人財プラットフォームの整備)Bコミュニケーションの推進(上司と部下のミーティング等、コミュニケーションを重視)を実施し、持続的な生産性向上、賃上げ実現の源泉となる好循環雇用システムの構築を進めています。

6.中小企業こそ積極的に取組むべき「ジョブ型雇用」
日本で真の働き方改革を促進し日本再興を果たすためには労働者の約70%が働いている中小企業において変革を実現し、稼ぐ力向上と賃金アップを実現することが不可欠です。大企業に比べ従業員が少ないこと、中途入社(転職者)が多いことはジョブ型雇用の考え方を導入しやすく施策を進めやすい面も多分にあると考えます。日本においてジョブ型雇用は設計や運用が100%確立されている訳ではなく、大企業においても正解のない課題・未知への課題として取組んでいる状況です。しかし、正解のない課題解決こそ最大の付加価値があると考え、横並びで他社のまねをするのではなく、一足先に取組むことが未来の成功に繋がるのではないでしょうか。正解のない課題を最適なかたちに導くこと・導ける人材が最も付加価値が高く、最も優秀な人材であると評価されるような日本社会・労働市場になることが日本再生のカギの一つになると思います。昨今、中小企業の人手不足倒産が頻繁に報じられていますが、人手不足倒産の実態は「低収益・低賃金倒産」です。魅力的な賃金を提示できれば採用可能ですが、利益を出せず賃金アップを提示できないため人が集まらないのが実態です。

今こそ独自の労務・人事改革に取組み、稼ぐ力の再構築に積極的に挑む時ではないでしょうか。

posted by ネット田中 at 10:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士のビジネス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年03月21日

AR(拡張現実)技術の産業利用

昨今はよく目にする技術となってきているので、ご存知の方も多いかもしれませんが、ARは、Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)の略で、日本語では『拡張現実』と言います。このARは、人が知覚している現実の環境(物や空間)に対して、仮想の情報を重ね合わせる表示技術です。AR技術の産業利用について、技術動向と合わせて紹介します。

1. ARは幻滅期
ガートナー・ジャパン発表の「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022」
では、メタバースへの期待感が一気に高まる一方で、AR/VR(拡張/仮想現実)は、市場から著しく期待される時期を過ぎて幻滅期にあるとしています。デバイスの進化に後押しされたAR/VR技術も安定普及に向けて進む啓発期にあります。
AR画像1.png
出所:ガートナー「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022」

2.ARとMR/VRの違い
現実と仮想を組み合わせる表示技術として、AR以外にも、VR(バーチャル・リアリティ)やMR(ミクスド・リアリティ)といった物があります。この中でもVRは、コンシューマ向けのゲーム等の普及で体験したことがある方も多いかもしれませんが、VRは仮想世界に人間の知覚(視覚や聴覚)を没入する事で仮想(バーチャルの)世界を体感するもので、仮想世界がメインとなります。それに対し、ARは現実世界がメインで、現実の画像に仮想の情報を付加するというものになります。

3.AR技術の活用例
AR/VRの技術は、ゲームなどのエンターテインメント分野で特に普及が進んでいますが、技術としてはまだまだ多くの活用領域があります。
(1)作業支援・教育支援
現実の機器にアノテーションを重畳表示することで操作を行う位置やアクションを容易に把握することができる。また、危険箇所への注意喚起などにも利用可能です。
(2)3Dモデル配置
現実の風景にCGや3Dモデルを重畳表示することで、あたかも「そこにあるかのように」に感じられ、見た目やサイズ感、設置イメージを視覚的に把握することで配置検討ができる。
(3)透過モデル表示
現実の物体に3Dモデルを重畳表示することで、内部が透けているかのように見え、分解せずに故障個所を把握することや、内部構造の理解を深めるなど技術教育などに利用することができる。
(4)空間情報表示
現実の空間中に文字情報や矢印、画像などを表示することで、道順や看板、注意書きを仮想的に表示させ、目的地まで安全に誘導する経路案内などができる。

上に挙げているのは用途の一例ですが、AR表示する内容・重ねる対象物など、様々な業種・業務でこの技術を活用できます。その中でも、特に産業領域においては、ARなどのビジュアル化技術の活用度は高く、また効果も出やすい領域です。

4.ARマーカーについて
AR表示するためには基準となる箇所を認識する必要があるため、ARマーカーを使用します。
マーカーには情報を表示する仕組みから大きく3種類に分けられる。
■画像認識型
 カメラで取得した画像を解析し、画像や映像にデジタル情報を付加する方式
■位置情報型
 GPSやスマートフォンの加速度センサーなどから取得した情報と紐づけて、ARを表示する仕組み
■空間認識型
 カメラで取得した空間の情報を解析し、画像や映像にデジタル情報を付加する方式
位置情報を利用したゲームコンテンツや、地図アプリなどでの活用事例が増えていますので目に触れることも多いかと思います。また、各々を組合わせて精度の高い情報として利用する例が見られます。

5.AR技術への期待とギャップ
やっぱり、ARするならスマートグラスでしょ!
これはARを産業利用に取り入れようとする多くの方の意見です。付加された仮想情報を見るときに、スマートフォン、タブレットでは、どうしても両手が塞がり使いづらい。両手フリーのグラスがデバイスの第一選択肢となります。ネット上に登場するPR動画もスマートグラス装着のシーンが多く、イメージ先行の感が否めません。
実際に装着してみると、重いです、画面小さいです、電池が持ちません。など意外とネガティブなコメントが多く登場します。単眼式グラスでは、現物を見る目との視差で慣れるのに苦慮します。両眼式グラスでは、目の前に付加情報が表示されて、歩きながらの作業には向かない。人間の知覚によるところですので、個人差も大きいと見られます。こちらは、スマートグラスの今後の機能改善に期待したと思います。
AR画像2.png
出所:マイクロソフトHP https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens/apps

6.ARの産業利用例
産業利用例を一つ紹介します。
国土交通省の排水機場点検業務にヘッドマウント型のスマートグラスを装着し、設備点検業務にARが利用されています。ポンプ設備の点検を実施する際、排水機場の光景に付加情報(ホログラム)を重ね合わせて表示します。正確な点検箇所を把握し、点検結果を入力する。紙やタブレットを使うよりも安全に点検でき、施設情報を熟知していない作業者でも容易に点検できるなどのメリットもあります。
AR画像3.png
出所:クボタHP https://www.kubota.co.jp/news/2024/management-20240208.html より
ラベル:AR/VR
posted by ネット田中 at 14:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士のIT | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月08日

メールは届いて当たり前

何時頃からかメールは通信キャリアのWebメールを利用しています。

いろんなデバイスでどこでも見れるからで、面倒な設定もいらず、当たり前のように。

そのなかでメールが届かないことも。

多くは迷惑メールフォルダに入っていたり、フィッシングメールと自動判定されたのでしょうね。

今まで届いて協会会員向けメールも。

判定アルゴリズムも進化しているようで、

発信元フリーアドからBCCで多数の宛先へ送信するとチェックがかかりやすい等。

変わったところで、Outlookで送信したZOOM会議案内メールが本文無しで.icsファイルが添付されるケース。

最近、こんなニュースが、

GmailやYahooメールがガイドラインを変更しました。

メール送信者側が守れないとどうなってしまうか、ブロックされたり迷惑メールフォルダに分類されます。

迷惑メール対策としてのガイドラインですので批判されることはありませんが、メールは一つの通知手段から届くことを前提とした社会インフラになっています。

もっと周知されても良いのでは思いつつ、自分事ととして記事にしました。

対応済みか確認してみます。

posted by ネット田中 at 09:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士のIT | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月24日

産業廃棄物処理業の動向

昨日は、今年最後の研究会例会。

業界動向のなかでの発表を備忘録兼ねて記事にしました。

環境関連事業が伸びる中で産業廃棄物処理業の動向です。

産業廃棄物処理業とは、

事業活動に伴って生じた廃棄物を収集運搬、処分する事業です。

産業廃棄物には、法で直接定められた6種類と、政令で定めた14種類の計20種類があり、産業廃棄物以外の廃棄物は、一般廃棄物となります。

処分を排出者から委託を受けて行うのが産業廃棄物処理業者であり、収集運搬事業、処分業、特別管理処分業の3つの業種に分かれます。

一般廃棄物処理との違いとは、

産業廃棄物の処理責任が排出事業主にあるところです。(一般廃棄物は市町村)

実際の処理は業者に委託することが多いため、適正に処理されたことを確認するための制度にマニュフェストがあります。

責任の所在を「見える化」したもので産業廃棄物の処理過程にだけ存在する仕組み、一般廃棄物処理には見られない特徴です。

廃棄物処理・リサイクルの市場規模は、

2020年で約4.7兆円と言われています。全排出量は年間約3.7億トン、うち再生利用量は全体の半数超の53%、中間処理上での減量処理が45%、最終処分が2%と推計されています。

産廃問題とは、

不法投棄と最終処分場の不足が挙げられます。

不法投棄に関しては、ピーク時の平成10年代前半に比べて、大幅に減少していますが、令和3年度で年間107件、総量3.7万トンもの悪質な不法投棄が新規に発覚するなど、いまだ跡を絶たない状況にあります。

最終処分場の不足の問題で、環境省は「およそ20年で日本全国のゴミの埋め立て場・最終処分場が満杯になり、ゴミを埋め立てできなくなる」という発表を出しています。

しかし、造ろうにも、不法投棄による悪いイメージや環境汚染への住民の不安感などから新たな最終処分場確保が困難になっていて、最終処分場の不足は、結果的に最終処分コストの高騰を招いて、不法投棄の誘因となる悪循環を生むことになります。

最終処分場の不足の問題を解決に向けては、リサイクル率を上げて最終処分する廃棄物を減らしていくことが有効であり、製品メーカーがリサイクルまで責任を持つしくみにしたのがリサイクル法です。

産業廃棄物処理事業者の今後の役割は、

中間処理施設でリサイクル純度を上げることで対応することが求められています。

産業廃棄物処理業は、不要になったものを廃棄するという従来のイメージから資源リサイクルによる持続可能な社会を実現する担い手としての役割を負うことになります。

以上 環境産業のとして活躍が期待される産業廃棄物処理業の動向でした。

ラベル:研究会 産業
posted by ネット田中 at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 診断士の協会活動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする